旅館業の許可について
最近、旅館業 (旅館ホテル営業・簡易宿所営業) の許可に関する問い合わせが増えましたので、旅館業許可取得に関して、行政書士が解説します!
目次 (クリック可能)
1,旅館業とは?
「旅館業」とは、宿泊料金を受けて人を宿泊させる営業をいいます。
その中でも、施設の形態や利用者層によって次の4種類に区分されます。
区分 | 主な施設例 | 特徴 |
---|---|---|
旅館・ホテル営業 | 旅館、ホテル | 観光客向け、一定以上の設備が必要 |
簡易宿所営業 | ゲストハウス、カプセルホテル | 相部屋形式・安価な宿泊形態 |
下宿営業 | 学生・長期滞在者向け | 月単位での宿泊提供 |
住宅宿泊事業(民泊) | 民泊 | 別途「住宅宿泊事業法」に基づく届出制 |
2,旅館業許可の主な要件
①施設・構造・設備の基準(構造設備要件)
項目 | 主な基準内容 |
---|---|
客室床面積 | 旅館・ホテル営業の場合、1室あたり 7㎡以上(寝台を置く場合は 9㎡以上) |
簡易宿所営業での面積要件 | 延床面積 33㎡以上 |
採光・換気・照明・排水・防湿設備 | 適当な採光・換気・照明・防湿・排水設備を有すること |
浴室設備 | 旅館・ホテル営業では入浴設備を備えることが求められる (近隣に公衆浴場等があるなどで入浴設備不要と認められる場合もあり) |
洗面所・便所・手洗い設備 | 清潔な湯水供給・石けん等が使える設備を設けること |
玄関・帳場設備(フロント等) | 宿泊者名簿管理、鍵の受渡し、出入口管理・緊急対応ができる設備を備えること |
ガス設備 | 客室等にガス設備を設ける場合には、配管図等を明らかにすることが求められる |
構造・耐火性・建築基準法との整合 | 階数・面積・用途変更などで耐火建築等の要件を満たす必要。建築確認等が必要な場合あり |
敷地条件・立地 | 用途地域や道路の接道要件、周辺環境との調和性を考慮することが求められる。 (新宿区では許可申請前に標識掲示などの指導要綱もあり) |
なお、新宿区では標識を営業予定施設に 14日以上掲示 することを義務付けられています。
また、宿泊者が利用する廊下・階段・エレベーターその他の通路は、専用のものとすることという基準があり、このため、新宿区ではマンションの一室やワンフロアのみでの許可は非常に厳しいです。
②衛生管理・運営上の要件(衛生措置要件)
許可後も維持すべき衛生管理基準も重要です。主な内容は以下の通りです。
- 清潔保持:施設、備品、寝具などを清潔に保つこと
- 排水・清掃:汚水・排水処理を適切に行う、建物の維持管理を行うこと
- 廃棄物処理:ごみ処理・分別・収集を適切に行うこと
- 従業者衛生管理:従業員の衛生教育、適切な衛生措置を講ずること
- 感染症対策・宿泊拒否事由:令和5年12月13日の改正で、営業者には宿泊者に感染症対策協力を求める義務などが新設(宿泊拒否事由も追加)
③人的要件・欠格要件
・破産していて復権を得ていない者
・禁錮以上の刑や、旅館業法違反などで罰金刑を受け、刑の終了から3年未満の者
・過去に許可を取り消され、取消しから3年未満の者
・暴力団員または、暴力団員でなくなってから5年未満の者
※東京都の旅館業のてびき(H30改訂)も参照してください。
3,新宿区での旅館業許可手続きの流れ
- 事前相談(新宿区保健所 衛生課)
旅館業法・新宿区旅館業法施行条例の要件を確認します。
(建築基準法や消防法の要件も簡単に確認)
改装が必要な場合はこの段階で図面調整を行います。 - 申請書類の準備
構造設備の概要、平面図、登記事項証明書、使用承諾書などの必要書類を準備します。 - 新宿区保健所への申請
申請書一式を提出し、書類審査が行われます。 - 現地確認・検査
施設の構造、清掃設備、避難経路などが基準に適合しているかを現地で確認されます。 - 営業許可証の交付
問題がなければ営業許可が下り、旅館業を開始できます。
必要書類の一例
- 旅館業営業許可申請書
- 構造設備の概要
- 建物配置図・各階平面図・正面図・側面図・照明設備図・換気設備図・給排水設備図・ガス設備配管図
- 土地・建物の登記事項証明書
- 使用承諾書または賃貸借契約書
- 周辺300m以内の見取図
- 法人の場合:定款・登記簿謄本
- 旅館業法施行規則第4条の3の基準関係書類(設備の設置場所図、機能・性能書類、委託契約書など)
- 標識設置報告書、誓約書 ほか
※詳細は新宿区公式サイト旅館の申請(届出)手続き:新宿区をご確認ください。
申請手数料
旅館・ホテル 30,600円
簡易宿所・下宿 16,500円
※行政書士に依頼する場合の報酬は別になります。
4,旅館業に関する申請や相談について
新たに旅館業許可を取得したい方、民泊と旅館業許可のどっちを取った方がよいか判断に迷う方、保健所に相談に行ったが、手続きや申請書類が複雑で専門家に依頼したいと思っている方、
旅館業許可申請や保健所関係の申請手続きに経験豊富な行政書士にぜひお任せください!
→ 新宿行政書士事務所 03-6675-9016
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