株式会社設立手続き

「株式会社」とは、株式という証券を発行して資金を集め、その資金を利用して経営する会社のことです。

その設立方法には、下記2つの方法がありますが、このページでは、通常初めて株式会社を設立する人が行う「発起設立」の手続き方法について解説します。

①「発起設立」

発起人が設立の際に発行する株式の全部を引き受ける方法により株式会社を設立する方法

※発起人・・・新しい株式会社を作ろうと思った人達 。つまり、このページを見ているあなた。

②「募集設立」

設立の際に発行する株式の引き受けを発起人以外の第三者にも募集をする方法により株式会社を設立する方法

最初から、ある程度の規模の会社を作る場合には、この「募集設立」を使うことが多いです。

株式会社設立の流れ

発起人の決定

基本事項の決定

会社の目的・社名・本社所在地・資本金の金額・役員構成・決算期など

定款の作成

定款の認証

公証役場にて公証人による認証が必要
(必要書類)発起人の印鑑証明書及び実印

会社の印章(印鑑)の作成

出資金の払込

通帳等で確認

登記申請

(必要書類)役員の印鑑証明書及び実印・法人の印鑑

株式会社設立にかかる費用

現在の株式会社は資本金は1円からでも設立可能です。
(以前は資本金1,000万円以上という縛りがありました)

ただし、資本金は1円からでも可能ですが、設立の手続き費用は別途かかります

また、設立できるとは言っても、1円では流石に事業の運営はできないでしょうし、資本金1円の会社では、対外的な信用も得られません。できれば、最低300万円以上は用意することをお勧めします

注)外国人の方が、「経営管理ビザ」を取得するためには、500万円以上の資本金が必要です。

資本金以外の法定手続き費用

定款用の収入印紙 40,000円(電子定款の場合は、不要)
定款の認証手数料 50,000円
定款の謄本手数料 2,000円
登録免許税 150,000円もしくは資本金の0.7%のどちらか高い金額
合計 242,000円~(電子定款の場合は、202,000円~)

※当事務所は「電子定款」で作成しますので、202,000円で設立可能です(資本金が約2,140万円までの場合)。

その他費用

印章(印鑑)の作成費用 5,000円~
印鑑証明書の取得費用 450円×必要な枚数
登記簿謄本の取得費用 600円×必要な枚数

行政書士報酬

標準価格 80,000円(税別)

※現物出資など、イレギュラーな場合は、別途追加見積り。

※東京都以外の場合は、別途交通費がかかります。

※登記手続きについては、提携する司法書士に依頼頂きます。

定款作成にあたり決めて頂きたい事項

(ア) 商号(会社名)
(イ) 会社の目的(「飲食店の運営・コンサルティング」など)
(ウ) 会社の本店所在地
(エ) 事業年度(会社の会計期間・決算月)
(オ) 資本金の額
(カ) 発行可能株式総数
(キ) 株主(出資者・発起人)の氏名住所、出資金の金額、現物出資の有無
(ク) 会社の機関(取締役・代表取締役・監査役・取締役会・監査役会など)
(ケ) 役員の任期

(参考)日本公証人連合会HP 定款認証

(上記を決めるにあたってのアドバイス)

<商号>
※ 類似商号の制限は現在ありません(住所が全く同じでなければ同じ地域でも同じ商号にすることは可能)が、有名企業と同じ名前にすると不正競争防止法により訴えられる可能性があります。
<目的>
※ 許認可を取得する場合、目的欄にその内容の記載がなければ許可が下りません。
例:建設業、宅地建物取引業、一般貨物自動車運送業
<本店所在地>
※ 定款の本店所在地は「〇〇区」「〇〇市」までに留めておくと、移転した場合でも定款変更という手間が避けられます。
<事業年度>
※ 事業年度は、設立の日より1年後にしておき、消費税の免税期間(2年)が過ぎた後に、3月末など一般的な企業と同じ決算月に変更した方がよいと思われます。ただし、半期の売上が1,000万円を超える予定の場合は、1年にすると翌年度から消費税が課税されるため、事業年度は設立の日から半年後にしておくのがよいです。
<資本金の額>
※ 資本金の額は1円からでも可能ですが、信用を得るためにはある程度、資本金を計上すべきです。また、許認可を得るためには、最低必要な資本金額が必要なものもあります。(例①建設業許可 500万以上 例②在留資格 経営管理500万以上など)ただし、資本金が1,000万円以上の場合、初年度から消費税が課税されますので、注意が必要です。
<発行可能株式総数>
※ 1株あたり1万円の持分とし、発行可能株式総数を10,000株程度にしておくと、将来資本金の額が1億円になるまで、発行可能株式総数の定款変更の必要がありません。
<株主・発起人>
※ 株主が発起人以外にいる場合、募集設立という手続きになり、金融機関に依頼事項が増えるなど手続きが複雑になります。
<会社の機関>
※ 会社の機関の内、絶対に必須なのは取締役1名のみです。取締役会を設置する場合は、取締役3名、監査役1名を置く必要があります。取締役会を設置するには、メリット(経営における重要事項の決議の一部を株主総会を開くことなく決定できる)及びデメリット(定時株主総会の際、計算書類や監査報告書の添付が必要など煩雑な事務作業が増える)があります。
<役員の任期>
※ 役員の任期は最長10年まで可能です。期間が短い場合、その都度登記手続きをする必要があります。

株式会社と合同会社の比較

 株式会社合同会社
メリット1、長年の信頼がある
2、株主と経営者の分離可
1、設立費用が安価
2、内部規定を自由に設計可 決算広告義務なし
デメリット1、設立費用が合同会社よりも高い
2、内部規定は会社法により制約がある
3、決算広告義務あり(官報等)
1、認知度がまだ低いため、対外的取引にマイナス
2、代表取締役ではなく、代表社員
3、内部規定を自由に設定できる反面、社員(役員)間で争いが起こる可能性もある
4、社員(役員)になるには必ず出資を行う必要がある
法定費用1、登録免許税    15万円
2、定款認証手数料   5万円
3、(定款)印紙代   4万円
<電子定款の場合は印紙代不要>
4、定款の謄本等  約2,000円
1、登録免許税    6万円
2、定款認証手数料   0円
3、(定款)印紙代   0円
4、定款の謄本等    0円
定款認証必要不要

※どちらの会社も間接有限責任です(出資者は出資した分以上の責任は負わない)。

※どちらの会社も税務申告においては同じです。税務上、どちらかが優遇されるということはありません。